模型製作について

模型製作を始めたきっかけ生まれ育った大阪を18歳の時に離れて以降、全国を転々と渡り歩いてきましたが、かねてより札幌に一度は住んでみたいと思っていました。そして念願がかない、転勤により2014年から札幌に住み始めました。予想通り、とても暮らしやすい街で満足していましたが、しかしながら当初から何とも言えない違和感を感じ続けていました。初めはその正体がよく分からなかったのですが、2年ほど経った頃に気づいたのです。そうです、歴史ある寺社仏閣がないために、何となく心の平安が保てないのです。子供の頃や、札幌へ転勤するまで住んでいた大阪・京都での3年間、奈良や京都の寺院・神社に足繁く通って心の安らぎを得ていた私にとっては、寺社仏閣がない環境というのは、ちょっとしたストレスでした。ちなみに高校は、国宝の五重塔を有する寺院の境内にあるという、私にとって非常に恵まれた環境でした。関西は札幌から遠いので、そう頻繁に通うこともできません。また子供に冗談で「関西に転勤しようかな」と言っても、子供は札幌を非常に気に入っているため、「単身赴任で行ってきて」と言わんばかりの目で見返されます。そこで、なんとかならないものかと考えた末、思いつきました。寺社仏閣を自分で作れば、毎日家で眺められるのではないかと。ということで、寺社仏閣の木製模型の製作を始めることにしました。



                                              


模型製作を始めてから分かったこと
                                       

(1) 今でしょ (もう死語?)
子供のころからモノ作りが好きだったので、定年退職後の趣味として寺社仏閣の模型製作をやろうという夢を昔から描いていました。しかしその計画を大幅に前倒しして、実際に模型製作を始めてから分かったのですが、40代半ばの年齢ですが老眼が進みつつあり、細かい作業がかなりきついのです。安物のカメラと同様、特に目から近接した物体に焦点が全く合いません。今ですらこんな感じなので、定年退職後から始めていたら、きっと模型製作の夢は諦めるか、始めたとしても現在のような手の込んだ着色やディテールアップは厳しかったでしょう。やはり、やりたいことはできるときにやっておくのが良いようです。

(2) メリハリ
2016年の春から模型作りを開始し、既に通算で千時間以上(!)を費やしています。これだけの時間をそのまま仕事に費やしていれば・・・などと思わなくもないのですが、実は模型作りを行っている時期の方が、そうでない時期と比較して、仕事が遥かに順調に進むことが分かりました。家に帰ってからの時間を趣味に費やそうと思うと、日中の仕事により集中するようになり、あとで考えると不必要だったと思えるような、無駄な作業も減りました。もちろん忙しいときには模型作りをストップしますが、家に帰って残業をするか、模型作りをするか、という選択肢があるのは、精神衛生上、私にとってとても良いようです。

(3) 建築物の見方
木製模型製作といっても、取り組み方はピンキリで、本格的な強者は建築物の設計図を手に入れた上で、材料から自分で作ります。私はそこまでの気合がないので、市販のキットを購入して製作しています。市販といっても非常によく出来ており、かなり精巧な仕上がりになります。とはいえ、メーカー側も製品にリアリティを追求しすぎると価格を上げざるをえないので、市販品のリアリティには「落としどころ」があります。そうすると、その製品にどこまで手を加えてさらなるリアリティを追求するかは製作者の裁量となり、ここが腕の見せ所です。そこで、実際に現地に足を運び、建物の構造(特に屋根の裏側)や色、木材の朽ち果て具合、はたまた石段の組み上げ方や岩石種など、こと細かくチェックして無数の写真に収めます。明らかに一般の観光客とカメラのアングルが異なるので白い目で見られますが、そのうち気にならなくなります。模型を製作するまでは気にも留めなかったことが多く、自分にとって楽しい発見の連続です。



                               


落成済、建立中、建立予定の模型

1.薬師寺西塔 >>> ●小林工芸 「1/70薬師寺西塔
人生で初めて製作を手がけた、本格的な木製建築模型。2016年の4月に建立開始、同年11月末に落成。製作時間は約500時間。



2.石山寺多宝塔 >>> ●ウッディージョー「1/50石山寺多宝塔
10年以上前から、いつかは製作したいと考えていた模型。2017年12月に建立開始、2018年3月末に落成。製作時間は約300時間。



3.醍醐寺五重塔 >>>●小林工芸「1/70醍醐寺五重塔
初めて挑戦した五重塔の建築模型。105円を超える価格であったにもかかわらず、値段を告げずに購入したため、とても温厚な妻もさすがにあきれ返ってしまい「家庭裁判」へ突入。私の模型製作を横で眺めるのを楽しんでいたはずの子供も、何故か妻の味方。時間単価(価格÷製作時間)が1時間あたり100円程度と、他の娯楽に比べて格段に安価であることを力説し、なんとか無罪放免(ちなみに飲み会に1回参加すると、>2000円/時間!)。2018年4月に建立開始、2019年9月に落成。製作時間は、なんと約1500時間!



4.東寺五重塔 (予定) ●小林工芸「1/70東寺五重塔
出身高校のシンボルなので、何とか手に入れたかったものの、長らく発売停止。残念・・・と思っていると、デアゴスティーニのSelect Shopで限定発売されたため(2019年8月)、即座に購入(今回は妻への根回しも怠り無く・・・)。現在は、小林工芸さんでも一般発売中。近日中に製作を開始する予定。



5.薬師寺東塔 (予定) ●二光通販「1/50薬師寺東塔木製模型
1981年発売の、今となっては幻のキット。オークションでも滅多に出回ることがないが、たまたまヤフオクに出品されているのを発見し、息詰まる一騎打ちを制して無事落札(コイツ(=一騎打ちの相手)さえいなければ、あと1万円安かったのに・・・)。定価(約8万5千円)の半値以下で落札したことを妻にアピールしたことが功を奏し、「家庭裁判所」行きを免れる。本物の薬師寺東塔は現在解体修理中で、2020年の6月頃に修理が完了するとのこと。修理後の姿を実際に見てから、製作を開始する予定。



6.興福寺五重塔 (予定) ●小林工芸「1/70興福寺五重塔
デアゴスティーニのSelect Shopで限定発売されるも、気づいたときには受付終了。しかしダメもとでメーカーの小林工芸さんに問い合わせると、まだ在庫が残っているとの情報(2018年8月時点)。当面は製作する予定はないが、いつ売り切れるか分からないので、急いで購入。



7.知恩院三門 (予定) ●ウッディージョー「1/150知恩院三門
ウッディージョーの会員限定の商品。いずれは必ず製作することになるので、購入済み。





                                                            


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